タイ政府は、5月15日に中国、韓国、香港、マカオを新型コロナウイルスの感染危険国から除外する決定をしました。16日には、わざわざ政府の担当者が記者会見を開いて、理由を説明しています。
背景には、タイの旅行産業が瀕死の状態になっていることがあります。
春節時期の稼ぎ時に中国からの団体旅行が禁止され、その後の世界的な新型コロナウイルスの流行、4月4日からはタイへの海外からの入国禁止措置も実施されています。
タイ経済はGDPの20%程度を観光に依存しており、また、タイの小売業は売上高の3割から4割を海外からの旅行者に依存しています。
バンコクでも、ほとんどすべてのホテルが一時休業しています。
タイ政府としては、中国、韓国を他国に先駆けて早期に感染危険国から除外することで、他国に先駆けてタイへの旅行者の獲得を目指しているのです。
タイの入国禁止措置は6月30日まで延期されていますので、中国、韓国を感染危険国から除外したところで、すぐに中国人旅行者が押し寄せる訳ではありません。もちろん感染第2波を心配する必要もなく、ツアーの予約獲得や前払金を得ることが出来ます。
現時点で、タイの入国禁止措置は6月30日までですが、状況次第ではまた延長すれば良い訳です。
ヨーロッパでも、夏休みのバカンス・シーズンのツアー獲得に向け、ドイツがいち早く動き出していることが報道されていましたので、世界中でロックダウン後の観光客争奪戦が勃発しているんですね。
この視点で見ると、日本は完全に後塵を拝してしまっていると言わざるを得ません。
国内問題の対応で精一杯で、オリンピックに向けたインバウンドの推進に向けた知恵が働いていないように見えます。